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ルビ×アウリ

キスビットの大陸中央を東西に分断するように流れる大きな河川、エイアズ ハイ川。

その川を遡上し、タミューサ村へ向かう輸送船の仮眠室。

ルビネルは旅の疲れを理由に、休息を取っていた。

thefool199485pf.hateblo.jp

↑上記、フールさんのSSの、最後の一行の直前に挿入されるオハナシです。

是非フールさんのお話を読んでから、お進みください。

 

 

「ええ。約束するわ。引きずり出してでもあなたを迎えに行くから!」

 

今まで自分に良くしてくれた人は多く居た。

村長のエウスオーファンをはじめ、村の人々は皆自分に優しくしてくれる。

しかし、出逢って間もないルビネルがなぜこんなに好意的なのか、アウレイスには分からなかった。

他の人たちと何が違うのだろう?

ルビネルと話していると、とても安心する。

自分がここに居ても良いと思える。

認められているような気がする。

求められているような気がする。

なぜか、アウレイスの瞳からは自然と涙が流れていた。

 

「こっちにいらっしゃい、アウレイス」

 

涙の理由も問わず、優しく呼びかける。

ルビネルはベッドに腰掛けたまま隣にアウレイスを誘う。

 

「あの、ルビネル・・・お、お願いがあるんだけど・・・」

 

隣に腰を下ろし、おずおずと、探るように言葉を紡ぐ。

なぁに?と囁きながら肩に腕を回すルビネルに、アウレイスは続ける。

 

「アウリィって、呼んで欲しい・・・ダメ?」

 

ルビネルは気が遠くなるほどの愛しさを覚えた。

この子の上目遣いにNOと言える人なんて居るのかしら?

しかも愛称で呼んで欲しいだなんて、可愛いにも程があるわ。

 

「もちろん構わないわよ、アウリィ」


どれだけ精神的に腰砕けていても、そう容易くポーカーフェイスを崩さないのがルビネルだ。

主導権を握るのはいつだって自分なのだ。

 

「良かった!ありがとうルビネル!」

 

破顔して抱き付いてくるアウレイス。

そのまま背中に腕を回し、ルビネルは優しく銀髪を撫でた。

 

「良い子ね、アウリィ・・・」

 

自分からベットに倒れ込んでアウレイスを引き寄せるか、それとも押し倒すかの二択でルビネルが迷っていると、アウレイスの告白が始まった。

お互いに抱き合い、肩の上にあごを乗せるような体勢のため、自然と耳元でささやくことになる。


「アウレイスって名前ね、嫌いじゃないのよ?でも、気軽に呼ぶには固い感じがしない?だからね、アウリィって呼ばれると、とても身近に感じられて安心するの。もっとも、そう呼んでくれるのは一人しか居なかったんだけどね。でもルビネルで二人目。嬉しいな」


突然、ルビネルの内から嫉妬の感情が湧き起こった。

皆が愛称で呼んでいるのなら構わない。

自分だけならばなお良い。

しかし二番目?

今までこの子を愛称で呼んでいた唯一の存在とは誰なのか。

 

「それ、誰なの?」

 

意図せずきつい口調になってしまった。

その短い質問に、一瞬その意味を考える間があった。

 

「えっと、エスヒナって子よ?村に来た時期が同じで、親友なの」

 

そうか。

ルビネルは突然理解した。

親友と聞いて湧き起こる安堵の感情と、それでもまだ消えない嫉妬の炎。

私、アウリィの全部が欲しいんだわ。

現在も未来も、過去までも・・・。

そんなこと、できるはずもないのに。

 

「私は自分で思っていたより、ずいぶん欲張りだわ」

 

少し自嘲気味に言うルビネルに、アウレイスは戸惑うばかり。

 

「え?何?どうしたの?」

 

「何でもないわ。アウリィが、欲しいってだけ・・・」

 

押し倒すことに決めたルビネル。

アウレイスも抵抗することなくベッドに倒れ込む。

 

「あ、あの・・・もうひとつ、お願いが・・・」

 

頬を赤く染め視線を逸らしながら、アウレイスは言った。

次の言葉がなかなか出て来ない。

よほど勇気のいる要望なのか。

それでもルビネルはじっと、待った。

そして、耳まで真っ赤にしながらやっとアウレイスが囁いたのは、なんとも奇妙な言葉だった。

 

「や・・・優しく、しないで・・・」

 

「え?」

 

今までルビネルは、優しくしてと言われてきたことは何度もあった。

しかし。

 

「どういうこと?」

 

疑問を口に出してから、ルビネルは後悔した。

すぐに答えにたどり着いたからだ。

しかし発した言葉は飲み込めない。

瞬時に路線変更だ。

 

「さぁ、どういうことか、自分の口で説明しなさい」

 

ルビネルは敢えてキツイ口調を選んだ。

その言葉だけで、アウレイスの吐息が熱いものに変わった。