キスビットに生息する生物は、大きく分けて二通りです。
愛玩用や家畜として、民の生活に深く関わり、その生態の詳細が解明されているものと、飼育や調教が不可能だとされる野性の動物です。
前者はごく普通に『動物』と呼ばれ、後者は『魔獣』と呼ばれます。
ちなみに現在は動物として扱われているものも、過去には魔獣でした。
つまり魔獣の中から、手懐ける方法や飼育の手段などが解明され、安全性が確保された種が動物認定を受けていくというわけです。
今回は三種の魔獣について説明します。
■オノドン -onodon-
草食魔獣。
巨体に似合わず、非常に臆病な性格をしている。
鼻から額にかけて伸びる
定期的に地面や巨木の幹、岩肌などにツノを擦り付ける習性があり、これによってツノの鋭利さが保たれている。
敵と認識した相手からは逃げ出すのが基本だが、逃げる場所が無かったり、相手の方が足が速かったりなど、逃げ切れない場合には応戦することもある。
その場合、鋭いツノを振り乱しつつ、装甲のような厚く硬い皮膚に包まれた巨体で突進してくることが多く、大抵の相手は一瞬で肉塊と化す。
■アカゲンサン -akagensan-
肉食魔獣。
鋭いツメと長く鋭利なキバを持つ密林のハンター。
高い身体能力も去ることながら、最も恐ろしいのは彼らが連携したときである。
基本的に捕食目的以外での狩りはしないため、満腹時であれば真横を通っても襲われることは無い。
しかしいざ食事認定されてしまえば、彼らから逃げ切ることは非常に難しくなる。
一頭のメスを中心に、三~四頭のオスと、その仔らで形成される集団でひとつのナワバリを管理する。
■ライハジン -raihajin-
雑食魔獣。
長い手足と、長い尻尾を器用に使い、木の上で暮らしている。
個体同士が独特な鳴き声でコミュニケーションを図っているらしく、しばしば、まるで会話のような鳴き声の応酬が聴こえる。
現在では与太話扱いをされているが、その昔『長く生きたライハジンは魔法を使う』と信じられていた。
それほど知能が高いということだ。
ただしそれも、人類で言えば3~4歳児並みの知能とされている。
※実はタミューサ村の村長エウスーファンは、若かりし頃に魔法を使うライハジンに遭遇している。
しかし1,000年の歴史がそっくり入れ替わってしまった現在、そのライハジンが未だ密林に生息しているのかどうかは不明である。