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上記の記事に寄せて。
私が影響を受けた作品は数限り無くあります。
生来が広く浅くな人間ですから、作品の形式もジャンルも多種多様です。
小説、漫画、絵画、音楽、映画、舞台、人間関係や特殊な経験、飲食などにも影響を受けています。
SF、歴史、恋愛、根性、感動、絶望、官能、滅亡、推理、悲劇でも喜劇でもどんなテーマも好物です。
ただそれが逆に『単に好きなだけ』という雑音になってしまい、自分の創作に対して影響を与えている根幹部分まで到達することが難しかったです。
そんな中で『もしかしたらコレかも?』と思い当たったものを貼っておきます。
動画は『アリス』という作品の予告編です。
どの作品が、ということはありません。
氏の作品の全てが該当します。(もちろん私が視聴したもののみ)
氏の用いるアニメは写真を連続再生することによって動きを表現する『ストップモーション・アニメーション』という手法で制作されます。
クレイアニメと言ったら伝わりやすいでしょうか。
どれだけ技術が進んでもCG等の特殊加工は行わず、一貫したアナログ主義です。
確か中学生の頃、たまたまテレビ欄の深夜枠に『アニメ』の文字を発見した当時の私は、その内容も知らずVHSに録画をしました。
そして衝撃を受けたのです。
『キモい・エグい・グロい・エロい』をブレンドしたような映像が目に飛び込みました。
特筆すべきは、これらの要素が単独では無いことです。
例えば、全裸の女性が無残に殺されたらエログロですが、それはエロとグロというそれぞれ別の要素が同時に表現されているだけで、ブレンドされてはいません。
決して混ざってはいない。
しかし氏の作品に登場するキャラクターや表現、動作などは『キモくてエグくてグロくてエロい何か』としか表現できないようなニュアンスを持っているのです。
最早それは『新しい形容詞でなければ表現できない』ような要素です。
味覚の甘いと酸っぱいが合わさって『甘酸っぱい』という新しい味になるような、そんな感覚なのです。
赤と青が混ざった紫の不可逆性(もう元の色には戻れない)みたいな感じなのです。
ただ、氏の作品の何にどんな影響を受けているのかさっぱり自覚がありません。
もしかしたら何も影響されてないかもしれません。
しかし自分の創作について深く考えるといつも必ず氏の作品が脳裏をよぎるのです。
「ジャバウォッキー」その他の短編 ヤン・シュヴァンクマイエル
こっちは割と明確に影響を受けています。
当時9歳か10歳くらいでした。
ストーリーの内容はあまり覚えていないのですが、とにかく鮮明に覚えていることがひとつだけあります。
『自己制御できない異能を、知恵と工夫でコントロールする』
これです。
確か主人公の佐倉魔美は、自分に向かって飛んでくる何かを回避するためにテレポーテーションが使えるのですが、逆に自分の意思だけではテレポートできないんです。
で、タイミングよくテレポートするためにビーズ(ちっちゃいプラスティックの弾)を発射する装置を使って、それを自分に向けて撃つことでテレポートしていました。
あるとき魔美が出口の無い洞窟に閉じ込められ、しかもビーズの残弾数ゼロの状態で途方に暮れているという場面。
結局、手近に落ちてる石ころを自分に落ちてくるように放り投げることによってテレポートが発動して脱出できるんですけどね。
要するに、普段使いしている道具に頼ることで自分の能力の本質を見失い窮地に陥り、しかし傍からそれを見ている仲間が知恵でそれをサポート、という展開に心を奪われたのです。
これがキッカケで、どんな特殊能力をどんなシチュエーションでどんな風に使うとカッコイイか、みたいな妄想が捗るようになりました。
あと、能力に制限を設ける醍醐味もこれで知りました。